【医師が解説】延命治療とは?ACPの考え方も解説。

目次

はじめに

延命治療とは

医療現場で実際に起きていること

延命治療のメリット・デメリット

現場で感じていた違和感

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは

ACPの実際

まとめ

はじめに

自分の家族が病院を受診した際に、
「延命治療を希望しますか?」と聞かれたことはありませんか?

「人工呼吸器をつけますか?」
「胃ろうは作りますか?」
「心臓マッサージは希望されますか?」

ある日突然、医師からこう聞かれたとき、
「どう答えればいいのか分からなかった」
そんな経験はありませんか。

家族が重い病気になったとき、私たちは突然「選択」を迫られます。しかし、その選択に正解はなく、十分に考える時間もないまま判断しなければならないことがほとんどです。

この記事では、現場で実際に起きていることを踏まえながら、延命治療とは何か、そしてどう考えればよいのかをわかりやすく解説します。

延命治療とは

延命治療とは、
回復が難しい状態において、生命を維持・延長するために行う医療行為のことを指します。

代表的なものとしては以下があります。

・人工呼吸器
・心肺蘇生(心臓マッサージ)
・昇圧剤の持続投与

これらは本来、回復の見込みがある場合には非常に有効な治療です。
しかし終末期では、「病気を治すため」ではなく「命をつなぐため」に行われる点が大きな違いです。

医療現場で実際に起きていること

多くの人は「延命治療は本人が望んで選択している」と思いがちですが、
実際はそう単純ではありません。大きく分けて3つの理由があるのではないかと思います。

① 本人の意思が分からない
急変時には意識がないことが多く、本人の意思を確認できないまま治療が進むケースがほとんどです。

② 家族が決断を迫られる
医師から「どうしますか」と家族が聞かれたとき、
「やらない=見殺しにするのではないか」
「後で後悔するのではないか」
という不安から、本来の本人の希望とは異なる選択がされることもあります。

③ 医療側の構造の問題
日本の医療現場には、「やらない理由」よりも「やる理由」の方が説明しやすい構造があります。例えば心肺停止の場面で、
「心臓マッサージは行いません」と説明することは医師にとっても心理的にもハードルが高い一方で、
「行いますか?行いませんか?」と本人・家族に判断を委ねる形で確認することは自然に行われます。

延命治療のメリット・デメリット

メリット

・一時的に命を繋ぐことができる
・家族が気持ちを整理する時間や最期の時間を作ることができる

デメリット

・ICU(集中治療室)などに身体拘束が必要になることがある
・意識が戻らないまま治療だけが続くことがある
・本人の意思と大きくずれる可能性がある

終末期では
「長く生きること」「その人らしく生きること」が一致しないことも少なくありません。

現場で感じていた違和感

医療の現場にいると、こうした場面に出会います。

・意思確認がないままフルコースの延命治療
・回復の見込みが乏しいのに治療が続く
・家族の「後悔したくない」という思いだけで決まる

これは個人の問題ではなく、医療制度や社会の構造の問題でもあると私は考えています。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは

この問題を考える上で重要なのがACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。

ACPとは、
将来の医療やケアについて、元気なうちから考え、家族や医療者と繰り返し話し合い、
共有していく取り組みです。

具体的には以下のようなことを考えます。

・自分が大切にしている価値観
・どこまで医療を受けたいか
・受けたくない治療は何か
・最期をどこで過ごしたいか
・代理意思決定者は誰か

ここで重要なのは、
ACPは延命治療をするかどうかを決めるものではないということです。
そして「どう死ぬか」ではなく、「どう生きたいか」を考えるものです。

ACPの実際

実際の医療現場では、病状の変化や家族の意向、医療資源の制約などによって、
事前に話し合った通りに進まないこともあります。

しかし、それは失敗ではありません。
大切なのは「その人が何を大事にしていたか」を共有していることです。

それがあることで、治療やケアの方向性は大きく変わります。

まとめ

延命治療は、命をつなぐことができる一方で、本人らしさを失う可能性もある医療です。
そして現実には、本人の意思とは無関係に決まってしまうこともあるのが現状です。
だからこそ、元気なうちから考えておくこと、家族と話しておくことがとても重要になります。

もし今日、少しでも考えるきっかけになったなら、まずは家族とこんな一言からで十分です。

「もしものとき、どうしたいと思う?」

それがACPの第一歩です。
また次の記事ではACPの詳しいところまで解説していければと思います。

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